もの置き

てきとうに色々書きます

誰得ブログシリーズ:自作オリカについて語る回

 タイトル出オチ。

 オリカ好きがオリカについて考えていることを書くのと、俺の作ったオリカのこだわりポイントをめちゃくちゃだらだら書きます。興味ない人間には全然面白くないと思うのでブラウザバック推奨。

人はなぜオリカを作るのか

 vaultオリカスレの元住人であり、実は以前もオリカ作りを題材にしてブログ書いたことがあるデュエマオリカフリークの私yk800。

yk800.hatenablog.com

 オリカを作る一番の理由はいうまでもなく「楽しいから」なんだけど、オリカ作りには実利と趣味がちょうどいいバランスで混在しているのが何よりのポイント。

 言うまでもなく、「ただ強いだけ」のオリカは作っても何も楽しくない。

 そのカードが仮に存在したとして、どのようなデッキが強化されるか? どのようなデッキが誕生するか? 現存するカードたちに対してどんな部分にオリジナリティが主張でき、プレイすることにどんな独自の面白さがあるか?

 そういった色々なことを意識して作ることが、とても楽しいのだ。

 そして、オリカ作りは単なる空想遊びに止まらず、構築中のデッキにおける「理想のデッキパーツ」探しにもとても役立つ。

 これはプレイヤーごとに個人差があると思うが、僕はガッツリとデッキ調整する際には結構な頻度でオリカを作る。

 とはいっても、そんなにガッツリとディテールまで作り込むのではなくて、「火自然の3コスぐらいでマナ増やせて受けにもなるクリーチャー欲しい〜」とか、それぐらいのふわっとしたオリカである。

 で、架空のそれをデッキに入れて回してみる。そして要素の優先順位をつける。

 マナベースに貢献するカードが最も欲しい場合は「火自然であること」が1位、マナカーブを埋めたい場合は3コス以下であることが1位。初動の枚数を満たすことが重要な場合はマナ加速が最重要で、受けの枚数を一定以上確保したい場合はトリガーを持っていることを何よりも優先する。

 「絶対に譲れないライン」と「最悪妥協してもいいライン」に線を引いて、実際にそれを満たせるカードがないか探す、という手順を踏む。

 これをすると、単に代用カードを探すよりも遥かに効率よく求めるカードを探しに行ける。

 全部入れて試すとその時のたまたまの結果に印象を引っ張られやすくなるので、こういう調整の方が僕は好みだ。

 「今の環境トップに一番刺さるメタカードってどんなんだろう?」と考えてオリカを作ってみると攻略の糸口が見つかったりするし、「このデッキに一番欲しいトリガー」を夢想して作ってみると意外なところに近い性能をしたカードが転がっていたりもする。

 ぐだぐだと書いたけど、そんな感じで、カードごとの「強い要素」を抽象化して抜き出す作業にオリカ作りはとても向いているのだ。

実例紹介

《鬼撃と禍焉と王螺の決断》

鬼撃と禍焉と王螺の決断
火/闇 コスト5 呪文
■侵略ZERO
■次の中から2回選ぶ。
<鬼タイム>さらに2回選ぶ。
 >自分のシールドを1枚手札に加える(ただし、そのS・トリガーは使えない)。その後、相手のシールドを1枚ブレイクする。
 >相手のクリーチャーを1体選び、相手はそれに封印をひとつつける。
 >GR召喚する。その後、コスト4以下のオーラを1枚、自分の墓地から選び、そのクリーチャーにつけてもよい。

 コンセプトは「GRメタが蔓延る世の中でありうるGR召喚のカタチ」。それに付随するフレーバーとして「ジャオウガを主人公とした王来篇のパーフェクト呪文」を意識して設計・ネーミングしている。

 まず最初に手をつけたのは第一コンセプトの通りに「相手のメタクリーチャーを除去してからGR召喚する」というデザイン。

 もともとは除去してからGR召喚するだけの呪文だったが、《知識と流転と時空の決断》のよくある勘違いを思い出し、「決断呪文の選択肢次第でメタクリがいない状況では2GRもできる仕様だと面白そう」と考えて決断呪文としてデザインすることに決定。

 最初はGR召喚の部分に「時空」をそのまま流用するつもりだったので、除去手段にはバウンス、パワー低下、火力、封印という3つの候補があった。このうちバウンスとパワー低下は既存のパーフェクト呪文に使われており、加えてバウンスにするとほぼ《知識と流転と時空の決断》なので早々に候補から落ちる。

 残りは火力と封印だが、僕は除去の選択肢の一つとして封印を使うのがめちゃくちゃ好きなので結構難なく封印に決まった。

 で、封印を使うということは必然的に禁断の要素をフレーバー的に含むことになる。禁断とGRを同時に使うためにはそれなりの説得力を持たせる必要があった。

 そこで思い出したのが、「ジャオウガ禁断パラレル説」だ。

takiura07.hatenablog.com

 パラレル説をそのまま流用するわけではないにせよ、この王来篇の流れで「ジャオウガが禁断とGR召喚をディスペクトする」という構造はなかなかにエモい。

 というわけでこの呪文は「ジャオウガ要素」+「ドルマゲドン要素」+「GR要素」の3つを中心に構成していくことが決まった。

 鬼札王国でも使えるようにしたいので、文明は赤黒2色で固定。そうなると、問題が出てくる。闇文明のGR召喚要素はオレガ・オーラが中心なのだ。火もGR召喚できるため単体でGR召喚できることに問題があるわけではないが、ディスペクト要素を足していくのであればやはりオーラは出したい。

 しかし、オーラ依存のGR召喚はデッキを非常に選ぶ。今回は「とこしえ環境でも使われるぐらい強いGR召喚をデザインする」というのが前提にあるため、他カードへの依存度が高いと話にならないのだ。

 ここで天啓が舞い降りる。《大卍罪 ド・ラガンザーク》、そして《ダンゴ武者》だ。

 これらのカードの存在から、「すでにバトルゾーンに存在するGRクリーチャーにオレガ・オーラをつける形で踏み倒す」という挙動はデザインとしてありえることが示唆されている。

 つまり、「オーラなしでもGRして、オーラデッキならボーナスも得られる」形にすればいいのだ。

 これで広い範囲で使われるカードパワーを担保しつつ、オーラデッキにも採用されうるカードになった。

 ここまでで封印=禁断要素、GR&オーラ踏み倒し=GR要素の2つを埋められた。

 最後に鬼札要素だ。これはシンプルで、お互いのシールドを減らせばいい。自分のシールドを回収して1枚ブレイクという能力は割とすぐに出てきた。
 実質1ドローでありつつ、このモードを2回使えば一発で鬼タイムに入れる。モード呪文なので展開次第では1回選べば十分だ。サポートカードとしてはかなり良質だろう。

 さて、これでよし……と一息ついたところで、忘れ物に気付く。

 パーフェクト呪文お得意の、自己キャスト支援能力がないのだ。

 これは困った。《瞬閃と疾駆と双撃の決断》にはないのでないっちゃなくてもいいのだが、やっぱりパワーカードとしてデザインする以上はつけたい。

 そこで、封印だけではやや薄い禁断要素を使うことにした。禁断周りの能力で呪文につけられるのは、侵略ZEROのみだ。

 ジャオウガメインのカードなので、どうせなら鬼要素も増やしたい。鬼タイムでモードの数2倍や!!!!!

 ……あれ、これ壊れてね? まあいいか……オリカだし……。

 ネーミングは

・鬼要素=「鬼撃」→鬼+相手のシールドをブレイクすることから「撃」。あんまり詳細詰めてないけど「喜劇」ともかけられるのでこの辺はそれっぽい背景ストーリーで補完してください

・禁断要素=「禍焉」→《ジ・エンド・オブ・エックス》と《終焉の禁断 ドルマゲドンX》から、封印除去には「終焉」のイメージがあることはなんとなく察せられる。最初はそのまま「終焉」だったが、後になって「マゲ」と「禍(マガ)」の類似性、「かえん」と読ますことで「火焔」とかけられるなどの理由で今の字の方が良さそうだなとなった

・GR要素=「王螺」→まんま「オーラ」。「王」はジャオウガや十王-王来ブロックに連なるテーマなのですんなり出てきたが、「羅」と「螺」で30分ほど悩む。最終的に字面のかっこよさよりも「なんとなくGR召喚っぽい見た目」という理由で「螺」をチョイス。

雄気と革命と紅蓮の決断

雄気と革命と紅蓮の決断
火/自然 コスト6
<キリフダッシュ>3(火/自然)
■次の中から2つ選ぶ。
 >自分のマナゾーンにあるカードを3枚アンタップする。
 >相手のクリーチャーを1体選び、持ち主のマナゾーンに置く。その後、そのクリーチャーのコスト以下のコストを持つ火または自然のクリーチャーを1体、自分の手札またはマナゾーンから出す。
 >自分のクリーチャーを1体選ぶ。その後、そのクリーチャーと同じ文明を持つドラグハート・ウェポンを1枚、選んだクリーチャーに装備してバトルゾーンに出す。
■革命0-この呪文を唱えたあと、墓地に置くかわりに自分の手札に戻す。

 こっちはドラグハート編。

 こちらも過去主人公要素を引き継ぐことは決まっていて、ドラグハートなのでグレンモルトは確定。禁断の対としてデザインするので革命軍を使うことが割とすんなり出てきて、三要素は特に問題なく決まった。

 ドラグハートを出す能力は別に捻る必要もない。

 チーム切札もわかりやすい。キリフダッシュにとってはマナをアンタップしてやるのが最大のサポートだ。派手さはないが、キリフダッシュコストとアンタップ枚数を一緒にすることで「実質ノーコストで+α部分を得られる」というデザインは美しい。

 問題はひとつ、「革命軍って革命チェンジ以外わかりやすいテーマなくね?」

 言うまでもなく呪文に革命チェンジは付けられない。しかし「革命X」って能力の発動条件を表すだけで、テーマがないのだ。

 ここまでの要件を考えると、ドラグハートをつけるためのクリーチャーを展開する能力と、メタクリーチャーを除去する能力を持つことが理想的であることがわかる。

 突破口となったのは、《破壊と誕生の神殿》だ。

 「革命っぽさ」とはなにか? 「追い詰められた状況から逆転すること」である。除去と展開が同時にできる能力が理想的だ。クリーチャーを踏み倒せれば革命チェンジサポートにもなって文句なし。

 《破壊と誕生の神殿》の「除去して出す」能力はおあつらえ向きに「革命っぽさ」を持つギミックだった。よし、これで行こう!

 ……でもこれどっかで見たことあるような……。

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革命っぽくして裏革命目っぽくなる皮肉

 踏み倒しの範囲は《蒼き団長 ドギラゴン剣》っぽく手札とマナからになった。

 ちなみに、最初はドラゴンのみが踏み倒し範囲の想定だったが、メタクリーチャーを除去った時に何も出ないのが悲しくてクリーチャーにした。ちなみにちなみに、《とこしえの超人》を除去してもコスト1しか出ない。

 自己キャスト補助能力は革命ゼロトリガーとキリフダッシュで迷ったが、キリフダッシュの方がアンタップ能力と相性がよくなるためキリフダッシュに決定。

 コストは当初6→4、アンタップ能力のアンタップ枚数4枚で調整していたが、このままだと6マナで唱えるだけで2マナ多くアンタップすることに気付く。

 マナアンタップ能力との兼ね合いから元コスト/2=アンタップ枚数にする必要があり、なおかつデザイン意図的にキリフダッシュコスト=アンタップ枚数になるようにしたい。
 元8マナは流石に唱える気がなさすぎたので6→3のアンタップ3枚に落ち着いた。6枚アンタップしてそのまま《勝熱英雄 モモキング》に繋がるコストがデザインとして美しいのもあってこれで決定。

 侵略ZEROの対として「革命0」も使いたい。これは《燃える革命 ドギラゴン》リスペクトで無限キャストになった。マナ無限アンタップの機構になるが、革命0=シールド0枚にする手段と呪文コスト軽減の合わせ技が必要になるのでこれぐらいのおもちゃは許容範囲だろう。

 ネーミングは、

・モモキング要素=「雄気」→英雄の「雄」の字を使うこと、「ゆうき」という音の響きは即決。「き」の字はあれこれ合わせてみたものの、結局「気」に勝るものが見つからなかった。まあ主人公カードだしそんなひねらなくてもいいか。

・革命要素=革命→まんま。主人公カードにひねりは要らぬ。

・グレンモルト要素=紅蓮→まんま。主人公カードにひねりは要らぬ。

まとめ

 まとめるほどのことあるか?

 そこそこ気合入ったフレーバー重視オリカを作るときはこれぐらいいろいろ考えてやっている。あれこれ考えてめちゃくちゃ真面目に作るオリカは本当に楽しいよ、というのが伝わればこれ幸い。

 紙オタクが一番手軽にできる二次創作なのでみんなもやってみてね。では。