もの置き

てきとうに色々書きます

テンション上がってきたのでオススメのなろう作品を羅列する

 個人的に好きな順序で並べていくのでオススメ順ではない点に注意

Myrla ~VRMMOでやりたいほうだい~

https://ncode.syosetu.com/n1376dv/


 猫耳*1系の、いわゆるバグゲー攻略記。攻略記です。攻略記ったら攻略記なんだい。

 これは作者の佐藤悪糖さんの他の作品にも共通していることなんだけど、主人公の頭のネジが1本どころか3、4本外れているのが特徴。それでいて善良で、泥臭くて、ちゃんと「人間」なのがたまらなく愛おしい。

 こっから先だいたいの作品に共通してるけど、戦闘シーンをはじめとにかくいろんなところでアツい描写が襲いかかってくるので、そういうのが好きな方はぜひ。

 ネタバレってわけでもないけど最初は意識せずに読んでほしいのでネタバレって書いときたいネタバレ:よくあるバグゲー攻略記かと思いきや途中から死ぬほど作り込まれた世界観にぶん殴られて死ぬ。MMOものでは世界観やフレーバーがゲーム攻略のカギになるのは当たり前ですが、構造的に非常に巧みに活かされているうえに作り込まれた世界観そのものもめちゃくちゃ良いので設定厨大歓喜の内容に仕上がってます。

シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜

https://ncode.syosetu.com/n6169dz/


 コミカライズが話題になってる新世代の名作。なんと1月24日現在で777話あるぞ! 僕は初見時(その時点で500話ちょっとぐらい?)2週間潰しました。

 この作品のウリは、筆者自身が「設定厨」を自称するほどの細っかぁ〜〜〜い設定の造り込みと、「オタク」感溢れる親しみやすいコメディセンス。そして何より、戦闘描写における読者のテンションコントロールの巧みさ。

 決して綺麗な文章ではない、明確なイメージを共有してくれるわけでもない。それでもシャングリラ・フロンティアの戦闘シーンは魂を燃え上がらせてくれる。「ここで燃え切りたい!」ってところに気持ちよく最高の一文を置いてくれるし、そうかと思えばスッ——と突然カメラが引いて、気持ちいいくらいに予想を裏切る展開が襲いかかってくることもあって……なんだろう、とにかく気持ちがいいんだ。シャングリラ・フロンティアの文章は、気持ちがいい。

 この作品の魅力は言葉では語りづらいので、まずはウェザエモン編、77話までを読んでみてほしい。この作品を貫くだいたい全てがそこに詰まっている。

 それが終わったらオルケストラ編、705話まで読んでほしい。いきなり長すぎ? でもウェザエモンまでを楽しめたあなたなら、苦もなく、むしろ楽だけでそこまでたどり着けるんじゃないかと思う。オルケストラ編は、とにかく最高だ。めちゃくちゃ最高だ。最高としか言えないくらいに最高しかない。最高を摂取したいなら、ぜひ読み進めてほしいと思う。

 コミカライズもバカほど面白い。っていうか作画がガチガチすぎる。今ならコミックス全2巻! 英世1枚で追い付けちまうんだ!

たとえば俺が、チャンピオンから王女のヒモにジョブチェンジしたとして。

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 ヒモって言いつつ言うほどヒモじゃない、なろうの名作によくある逆タイトル詐欺。

 この作品のえらいところは……キャラクター造形と背景の書き込み。そして、それをあらんかぎりの力で爆発させる戦闘描写。

 とにかく良いキャラしかいないんだよ。良い作品は当然良いキャラクターが多いんだけど、この作品はそんな中でも圧倒的に作り込みとシミュレーション力が頭抜けている。

 特に僕が好きなのはメイドのコローナ。ご時世的にいろいろ危ない名前のこのヒロインは書籍版2巻範囲である第2章「たとえば俺が、落とされる処刑の刃と打ち合ったとして。」においてフィーチャーされており、実質的に本作品のメインヒロインを担っている。「メインヒロインは王女さま」? うっせぇフウタコローナちゃん幸せにせんと承知せんからな!!!

 思わずクソ寒い寸劇でキャラに怒りをぶつけたくなる程度には可愛くて魅力的で、正直なところ今まで読んだラノベヒロインの中でもぶっちぎりで贔屓目でみてしまう。完全にオチた。

 中盤以降はもう一人のヒロイン「パスタちゃん」がとても可愛くなりはじめて危険なんだけど、それでも僕はコローナが一番好きです。

 ここまで一切戦闘の話をしてないんだけど、主人公が闘技場の元チャンピオンであっただけにとにかく戦闘シーンが多く、しかも面白い。

 シャンフロはPvEが基本。感情の盛り上がりは必然的にイコールで主人公であるサンラク自身のテンションの盛り上がりになって、それが読者の気持ちとシンクロするのが気持ちいいんだけども、この作品はPvP、つまり「会話文」なんですよ。

 物語の中で必要不可欠な会話を、戦闘が補っている。交わす言葉は少なくとも、剣戟の応酬が、つぶさに描写される一挙手一投足が、ちゃんと「物語」を作ってくれているんですよ。これって、意外なまでにできてる作品が少ないんですよね。

 また面白いのが、主人公は最強なんだけど、主人公を通して魅力的に描写されるのはチャレンジャーの方なんですよね。これがまた、キャラクターが魅力的なこの作品の特徴によくあっている。逆にこういう構造だからこそ、キャラクターが魅力的になるのかも?

 主人公は、最初はわりと無個性というか虚無というかなんだけども、多くの挑戦者や雇い主・メイドと交流するにつれてちょっとずつ個性が磨かれて魅力が増していくのも新鮮で面白い。

 ベタ褒めしたけど実際面白いのでオススメです。

難攻不落の魔王城へようこそ~デバフは不要と勇者パーティーを追い出された黒魔導士、魔王軍の最高幹部に迎えられる~

https://ncode.syosetu.com/n4836fm/

 テンプレート自体はよくある追放ものだが、追い出した側の勇者サイドに一緒に出奔してくる典型的聖女ヒロインが不在で、むしろ勇者がヒロインムーブをする珍しい作品。僕はこういうの好きだよ。

 この作品もアツい描写が魅力の作品だが、「シチュエーションの設定が特に巧み」という印象。

 戦闘シーンに到るまでの因縁の配置や対比構造の作り方、そういった全てをクライマックスで綺麗に回収して盛り上がりを作ってくれる。きちんと計算されて配置された、見事なエンターテインメントです。

 なろうで読んでもいいんだけど、特に1巻範囲は書籍で読んでほしい。初見時は「ここまで綺麗にヤマとタニを作って展開をまとめられるのか」と驚愕したぐらい、単行本に合わせたスケーリングがなされている。まちカドまぞく方式(?)。

 ボスラッシュだったり、「昨日の敵は今日の友」「今日の友は明日の敵」みたいな友情の入り乱れるバトル展開だったりが好きな人にはたまらない、少年マンガもかくやの作品となっている。この辺りの単語が琴線に触れる人にはオススメ度が高い。

*1:この世界がゲームだと俺だけが知っている」という、なろう初期の作品の舞台となるバグゲー。この作品は徹頭徹尾このゲームのバグを活用した攻略記となっており、のちの作品にもいろいろ影響を与えている名作。アツさはあまりないものの、とにかくゲラゲラ笑いながら読めるのでこちらもオススメ