もの置き

てきとうに色々書きます

レッドログNo.14(20/03/23)

 すでに摂取経験のあるオススメコンテンツを食い潰すマシーン。

ラノベ

豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい(合田拍子/富士見ファンタジア文庫)(既刊8巻)

fantasiabunko.jp

 ずっと推したかったラノベのストックを消化する回。今後しばらくこういうの続くかも。

 昨日もちょっと言及した「転生元の記憶だけが引き継がれて人格がほとんど消滅する」タイプの移植転生モノ。あらすじはリンクに詳しいけど、ざっくり言えば「最愛の人がハーレム堕ちしてしまう未来を知ってしまった隠れ天才デブ貴族が、いろいろ努力して最愛の人との幸せな未来を目指す話」という感じの話。
 例に漏れず主人公が無双する要素のある作品なんだけども、珍しいポイントとしては、「転生の引継ぎボーナス」とか「前世知識による育成チート」とかそういった類の何某かではなく、「転生先のキャラが元々作中最強格」だから無双できるという点。「なんでそこまでできちゃうのにヒロインをハーレム堕ちさせちゃったの?」とかもそれなりに理解できる理由が描かれてるので違和感はほとんどなかったりする。

 とかそういうのはわりとどうでもよくて、この作品の魅力はキャラだよねキャラ。最近のラノベだとここができて最低限って感じではあるんだけど、キャラが魅力的なのは良い。「豚公爵」は一人称視点が主体で、つぶさな心情描写とかはあんまりないものの、キャラ個々のエピソードや過去設定の造り込みなんかで魅せてくるタイプ。特に約束された勝利のヒロインであるところの豚公爵の従者・シャーロットと第1巻からサブヒロイン街道まっしぐらの可愛くてちょっと可哀想な豚公爵の元婚約者・アリシア。この二人は主人公のスロウと昔からの馴染みであるため、過去エピソードが作りやすい、んだと思う。つまり、魅力的に描かれやすいということだ。

 幼馴染みヒロインって最近はやたら悪役にされるのが流行りらしいけど、個人的には好きな属性だ。その最大の理由として、過去エピブーストがいくらでも作れるというのがある。惚れさせるにしろ、裏切らせるにしろ、最初から悪役って展開はもったいないと思うんだよなー。もちろん悪役としての存在感も過去エピブーストできるからいろいろしやすいってのはわかるんだけどね。でももったいない。幼馴染み設定は創作において軽いチートみたいなもんだから、そんな雑な使い方をするのはねえ。
 まあラブひなの時代から、ラブコメの主流は「初対面と見せかけて実は昔会ったことある」だからなあ……。うーん、幼馴染み、好きなんだけどなあ。権利団体結成してやろうか。「幼馴染みヒロインの人権を守る会」。これは流行る。

 この手の作品としては結構異例な「最初から勝ちヒロインが明言されている」作品で(というか主人公はシャーロット以外をヒロインとして認識していない節がある)、おかげで報われない未来がほぼ確定しているサブヒロインにすごく同情的になってしまうという副作用もあったりする。個人的な最推しはカリーナ王女なんだけど、感情的にはアリシアちゃんすげえクるものがあるんだよなあ。未発売の9巻はアリシアにスポットライトが当たる巻になるらしいのでめちゃくちゃ続きが気になりますハイ。

 カクヨム版もあって今も絶賛連載更新中の作品だが、書籍化が結構早かったのもあって、内容がかなり違うらしい。僕も全部は読んでないので詳しくはわからんのだけど。

 豚公爵の独特な一人語りで構成されるクセの強めな地の文体が苦手でなければ、かなりオススメできる作品。とりあえずカクヨムの頭読んで雰囲気だけでも掴んでみるのが良いんじゃないかな。