【デュエマ】yk800の週刊! メタゲーム・ウォッチング Vol.8【19.11.6】
どうも、レッドことyk800です。早いものでこの企画ももうvol.8ですって。古くからのフォロワーさんには飽きっぽいことでお馴染みの僕が2ヶ月も継続して記事を書き続けてられるのはちょっとした奇跡のようなもの。これもひとえに読んでくださっている皆さんのRTであったりふぁぼであったり、RT後の感想であったりのおかげです。いつもありがとうございます。
ところで今日11月6日はTVアニメ「まちカドまぞく」のBD・DVD2巻の発売日でしたね! 皆さんもうお手元で楽しまれてるころかとは思いますが、一応! 一応今回もAmazonさんへのリンクを張っておきますね! まちカドまぞく、見よう!
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アニメ円盤に造詣の深い読者の皆様ならお察しかと思いますがあと2回、1ヶ月後と2ヶ月後にもこれやります。どうかお付き合いください。
先週末の結果総まとめ
まずは先週末(19.10.26〜19.10.27)に行われたCSの結果を見ていきましょう。
(※元となった大会結果は田園補完計画さんからお借りしています。また、情報の抜け・漏れがありますことをご了承ください)
三つ巴環境に鬨の声をあげる【水闇ハンデス】。
依然としてトップをひた走る【火水自然ミッツァイル】ですが、「必殺‼︎ マキシマム・ザ・マスターパック」リリース前の環境とは異なり、現在の立ち位置は支配的なものではありません。同じく三頭政治を司る【火光ビートダウン】、【火水万軍投ジョーカーズミッツァイル】はマナドライブ6を持つGRクリーチャーによる破壊的なアドバンテージを享受することができないため、ハンデスそのものの通りは以前と比べて改善されており、それが結果にも反映された形なのかもしれません。
もちろん他の要因もあるかとは思いますが、それについては後ほど分析していきましょう。
全体の傾向を見ても先週筆者が懸念していたような「上位3デッキのみが完全に環境を独占する」ようなメタゲームにはならずに済んだようですが、今回は漠然と感じていた「上位層と下位層の断絶」がいつにも増してハッキリと浮かび上がったように思います。上位4デッキの入賞数が2ケタを数えるのに対し、次のデッキタイプの入賞数は7、その次は5にまで落ち込みます。
勝ちうるデッキの数でいえば歴代でも屈指の良環境のようにも見えますが、その一方でコンスタントに入賞数を稼ぐデッキの存在許容数は決して多いとは言えず、なんとも評価に困る形です。他ゲームのメタゲーム変遷についてはハッキリ言って完全に門外漢であるため一概にどうというとは言えませんが、この環境の在り方が人を選ぶものであることは確かでしょう。
今週のトピックス
先週末頭角を現した【水闇(t光)ハンデス】。【デッドダムド】にメタゲームを追いやられた8月期環境から数えれば実に3ヶ月ぶりの急浮上です。
まずはデッキコンセプトから振り返っていきましょう。
あまり環境を追い続けていないプレイヤーのみなさんの中には、同カラーリングで同じく序盤のハンデスを中心に据えたRevF期の【水闇ハンデス】や、さらに昔のいわゆる【水闇光超次元】のイメージ、すなわち「ハンデスで相手の選択肢を全て奪ったあとゆっくり打点を揃えてゲームを終わらせる、時にはライブラリアウトすら視野に入れる」コントロール色の極めて強いデッキをイメージする方も少なくないとは思います(筆者がそうでした)。ですが、現在の《Wave ウェイブ》を主役とする【水闇ハンデス】はむしろミッドレンジデッキ。
2ターン目、3ターン目とハンデスを連発して動き出しを縛り上げ、4ターン目からはハンデスを絡めつつも妨害の主軸を「カードのプレイを禁じる」呪文である《「本日のラッキーナンバー!」》・《ファイナル・ストップ》や、それを使い回す《Wave ウェイブ》・《イグゾースト・Ⅱ・フォー》・《サイバー・K・ウォズレック》へとシフト。《Wave ウェイブ》が生み出すGRクリーチャーに打点形成を任せ、複数ターンに渡って妨害を使い倒してトリガーをケアしながら攻撃し、最終的に相手のシールドを全て割り切っての勝利を目指します。
過去の類似デッキとの最大の違いはハンデスを「あくまで殴り出す準備が整うまでを繋ぐための手段」と割り切っている点で、《超次元リバイヴ・ホール》からの《激天下!シャチホコ・カイザー》+《特攻人形ジェニー》のような永続的に妨害する手段をあまり活用せず、確実に採用されているシステムクリーチャーは《Wave ウェイブ》とGRの《全能ゼンノー》のみ。最近の構築では《無修羅 デジルムカデ》すら2枚以下、1枚も入っていない場合も珍しくありません。
狙う勝ち筋そのものはほぼ違いがないため同一アーキタイプとしてまとめてはいますが、光が入っているかいないかでもかなり別のデッキです。
光入りの場合は2コストでの動き出しにあまり比重を置かず、苦しくなったマナベースを支えるべく2ターン目までをタップイン処理許容のターンとし、早いデッキ相手には3ターン目の《青守銀 シルト》でトリガーを仕込んだり《オリオティス・ジャッジ》で相手の盤面を流すところから、遅いデッキ相手には《ブレイン・タッチ》などを当てるところからスタート。《Dの博才 サイバー・ダイス・ベガス》や《テック団の波壊Go!》といったトリガーを多めに採用して速攻の猛攻は盾で捌きつつ、その他のデッキに対しては余裕を持って間に合う《解体事変》などのピーピングハンデスや各種妨害を当ててペースを奪取。最終的に《ファイナル・ストップ》を含む6〜7枚の分厚いジャマーで反撃を封殺しつつ殴っていくどっしりとしたデッキです。《ファイナル・ストップ》は刺さる対面を選ぶ部分はあるものの、対面次第ではこのカードを回しているだけで完封できるパターンも存在し、キャントリップがついている分だけ《「ラッキーナンバー」》よりも手撃ちしやすく、妨害枚数の嵩増しによってフィニッシュへの到達が早いと色を足す理由としては十二分。
2コストハンデスをきっちり8枚取っている3色の構築も少なからず存在しますが、筆者個人の感想としては3色のマナベースで2ターン目にハンドを減らすアクションを取るのは相当苦しく、5枚、6枚に減らした構築の方がコンセプトを完遂しやすいのではないかと思いました。
対して水闇純正2色の構築は、妨害手段の枚数や盾の強さと引き換えに、デフォルトで8枚、多いデッキでは10枚の2コストハンデスを採用し、序盤からのハンデスを安定させています。動きの早いコンボデッキ、例えば《火水万軍投Jジョーカーズ》のようなデッキに対しては2ターン目でのハンデスがあるかないかでゲーム展開が大きく変わりますから、この利点は決して小さくありません。ですが、純正2色ですら2ターン目3ターン目と動けるように連続で単色マナを置くと、多色が手札にかさばってマナカーブ通りのアクションを取れない事態が頻発しますし、また貴重なアンタップインマナである《機術士 ディール》も、フィニッシュ用の妨害手段がそれ1種4枚しか入っていないため気軽にマナへ埋められません。マナ回収手段がほぼ存在しないので甘えたマナセットをすると一瞬で敗北を喫してしまう可能性があり、「何ターン目に何をプレイしたく、そこから逆算して何をマナに埋めるべきか?」の取捨選択が非常に難しい、相当に玄人好みのデッキとなっています。
デッキ内に太いフィニッシャーが存在しないため、序盤のうちに《「ラッキーナンバー」》に触ることができずリソースカードにも乏しい展開になった場合は、《ゲオルグ・バーボシュタイン》を他のクリーチャーと2体セットで攻撃させることで相手のハンドを極力増やさないようにしつつノーケアでシールドを削っていくプランへの切り替えを早めに検討しておかなければならないこともあるなど、プランニングの腕前が非常に強く要求されるデッキである、というのが筆者の印象でした。
心の弱い筆者には使いこなせそうにないデッキでしたが、その分使いこなした際の出力はかなり高く、また細い線を通すようなシビアなプレイ感は、「デュエマの楽しみ方」という観点において環境内で類のないデッキであるように思います。
これらのデッキが先週末に強かった環境的な要因として考えられるのは以下の3点です。
⒈【火自然水ミッツァイル】一強環境の終焉
⒉【デッドダムド】の没落・および《全能ゼンノー》による【ダムド】耐性の獲得
⒊環境の高速化
⒈は先ほども述べたのであまり言うことがないでしょう。デッキ全体の軸が変わったとはいえ、相変わらず《天啓 CX-20》のリソース力は【水闇ハンデス】側のカードのほとんどを紙切れにしてしまいます。このカードを使うデッキが環境に多ければ多いほど、【水闇ハンデス】というデッキの立場は苦しいものになることが予想されます。ですが、現在は環境内に【火自然水ミッツァイル】に迫る勢いのデッキが複数存在し、それらのデッキは《天啓 CX-20》を筆頭としたマナドライブ6サイクルの恩恵を受けることができません。結果、相対的に【水闇ハンデス】の立ち位置は悪くないものになったといえます。
⒉については、このデッキが一時期環境から消えた理由を考えれば辿り着く推論です。「GRを横に並べて複数ターンかけて殴り切る」というコンセプトは【デッドダムド】との相性が最悪のひとこと。手札以外からのカードプレイや回収も豊富でハンデス戦術の通りも悪いです。そもそも、そういったデッキが多かった環境を【デッドダムド】が食い荒らしたのが8月期の環境だったわけですしね。
特に《虹速 ザ・ヴェルデ》は手札を介さずに登場し、ハンデスが落としてしまった墓地の《SSS級天災 デッドダムド》へと侵略する悪夢のような存在。《禁断機関 VV-8》のリソースパワーも伴い、【水闇ハンデス】というデッキはほぼ存在価値を無くしました。
しかし現在の環境において、天敵であった【デッドダムド】の数は大幅に減少し、また《全能ゼンノー》という対《ザ・ヴェルデ》最終兵器により、《Wave ウェイブ》から妨害を撃つついでに【デッドダムド】のカウンター手段をケアできるように。不利であることそのものに変わりはないものの、それでもあるとないとでは大きな差が生まれているのではないでしょうか。
⒊は、環境のインパクトターンが早まったことに起因し、2ターン目・3ターン目に撃つハンデスの価値が相対的に高まっているのではないか? という点。早い段階で手札全てを使い切り、フルパワーでの展開を目指すデッキの多い現環境では、序盤に減らされる手札1枚の価値が非常に重くなっています。1ターン目、たった1枚のマナセットが勝敗を分けるようなゲームが非常に多い現代デュエマ。そんな中、意思決定を介さずランダムで手札を失うことによる損失は計り知れません。
また、これは脇道に逸れた観点ですが、「ハンデスは後手からでも・時により後手からの方が強い」というのも現在の先攻優位環境の中では強みと言えるでしょう。
【水闇ハンデス】は強化され続けるGRクリーチャーの恩恵を一身に浴びた強力なデッキですが、決して「太い」デッキではありません。2日、3日の入賞数は相当数に登りましたが、各地の結果を見たプレイヤー側の意識も上がったのか、4日の入賞数はやや控えめに止まり、代わりに【火水自然ミッツァイル】が勢力を伸ばした印象を受けました。
高速回転するメタゲームの中で、【水闇ハンデス】は生き残っていけるのでしょうか。
HOT TECH
《“閃忍勝”威斬斗》
えー、率直に申し上げますと、筆者はこのカードをこのコーナーで取り上げることになるとはまったく思っていませんでした。節穴ですね。先週末のCSにおいて、《“閃忍勝”威斬斗》を採用した【火光サンマックス】が数多く入賞していました。
「必殺‼︎ マキシマム・ザ・マスターパック」以降の環境にはGRクリーチャーを高速で横展開するデッキが勃興しており、同型・【火水万軍投Jミッツァイル】・【火単速攻】・果ては【水闇ハンデス】まで、このカード1枚でボードを流して仕切り直しに持ち込めるデッキは少なくないのが現状です。
環境の速度が早ければ早いほどノーコストでこれだけの火力を撃つことのできる利点は大きくなり、G・G・Gであるがゆえに懸念されていた「ラスト1枚の手札で打点を増やすアクションが取れないのはあまり強くないのではなのか?」という点も、バトルゾーンに自然・コスト3のGRクリーチャーがいれば《S級原始 サンマックス》から手札を使わずに打点を出すことのできる【火光サンマックス】を居場所とすることで緩和しています。
また、GRクリーチャーの能力的なインフレに伴い、パワーラインそのものはさして高くない水準に収まるようになってきたのもこのカードにとっては良い傾向です。《KAMASE-BURN!》全盛期であればGRゾーンのパワーはほぼ4000以上に統一されているのが標準でしたが、現在環境トップクラスのデッキのGRゾーンを構成するカードはほとんどが3000以下。きっちり《威斬斗》の範囲内です。
ここまで環境の変遷を考えてデザインしていたのだとしたら、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの先見性に脱帽するしかありません。貧弱カードとか思ってすいませんでした。
とはいえ、カードそのものが強いわけではなく、総合的に見ればあくまで「デッキ枚数を採用枚数ぶんだけ圧縮できる、たまにウィニーへのメタとして機能するカード」というぐらいの立ち位置。パワーが環境に強く依存するので活躍したりしなかったりが続きそうです。
すぐにGRのカードパワーが弱くなるというわけでもないですし、今後しばらくはまだ役割を持てそうですね。
今週末のメタゲーム予想
前回は「今週は穏やかかも?」なんて宣っていましたが、蓋を開けてみれば大激動の週末でした。みんなデュエマ好きだね。
第四勢力の登場によりメタゲームの予想はよりしづらく。まあやっぱり【火水自然ミッツァイル】が無難に広く取れてベストデッキのポジションには収まりそうなんですけども……。
《グレープ・ダール》と《エモG》のパッケージを採用し、速度面でもアドバンテージの面でも分厚く、代償として《全能ゼンノー》や《デジルムカデ》、またマッハファイターの通らないノンクリーチャー気味のデッキに対してやや脆くなった【ジョーカーズ軸火水自然ミッツァイル】や、着実に入賞数を伸ばし無視できない勢力となりつつある、速度と爆発的な展開が魅力の【火単“B-我”】など、今回は紹介しきれなかった要注目デッキはたくさん存在します。
エリア代表戦がもうすぐそこまで近づいてきていますが、殿堂環境の方もまだまだ研究しがいがありそうです。
今週のメタゲーム・ウォッチングはここまでとなります。それではみなさま、良い週末を!