もの置き

てきとうに色々書きます

決勝トーナメント・第2回戦「松本モンキーパーク(悟空)」vs.「はっちCS最高!」【第44回はっちDMCS(20.2.1開催)非公式テキストカバレージ 】

「松本モンキーパーク(悟空)」vs.「はっちCS最高!」

A カマボコvs.ナツメ
B 働キvs.ランディー
C メカ・さくらいおんvs.ギラサキ


 ゲーム開始前に選手へ挨拶し、カバレージライターの座席に着席すると同時、筆者は卓の右側半分から感じる「圧力」に思わず気圧されてしまった。
 「はっちCS最高!」の選手3人の開始盤面に、3体の《零龍》が鎮座しているのだ。

 筆者がその存在感にたじろぐ中、対面の「松本モンキーパーク(悟空)」側の選手はまるで意に介していない。これぐらいよくあることだと言わんばかりだ。実際よくあることなのだろうが、踏んできた場数の差が如実に現れている。
 「開始時ドロー、今引きます?」「ゲーム始まってからでお願いします!」と他愛のない会話が飛び交う中、いよいよゲームが始まる。

 先攻は「はっちCS最高!」のギラサキ。5枚のオープニングハンドを確認すると、早速B卓のランディーへと相談を開始する。1ターン目から取れる選択肢が広く、《零龍》を使うデッキといえば……筆者が想像を巡らせているうちに、ギラサキの手によってマナに置かれたのは《卍∞ ジ・エンデザーク ∞卍》。

 【零龍速攻】。殿堂環境内にいくつか存在する《零龍》を使ったビートダウンデッキの中でも、2ターン目ないし3ターン目の《零龍》卍誕に全力を注ぐ速攻デッキだ。
 1ターンたりとも無駄にすることができないこのデッキは、コスト1のカードを複数種採用する。極めて短いターンの中でリソースを消費しきってしまうデッキであるため、基本的にロングゲームには向かない。最初の3ターン、遅くとも4ターンまでにゲームが決着するかがこのゲームの鍵となるだろう。

 視点をゲームに戻す。ギラサキ選手は《堕魔 ザンバリー》をプレイ。《一なる部隊 イワシン》を捨て、ルーティング能力を絡めてさらに《ビックリーノ》を墓地に落とす。そのままターン終了を宣言し、眠りにつく間も無く《ビックリーノ》が戦場へと蘇る。《復活の儀》、達成。デッキトップから墓地へと送られた2枚の中に、《暗黒鎧 ザロスト》の姿が確認できる。
 もはや《復活の儀》は達成されてしまったが、本来触りづらいシールドゾーンからまだ見ぬカードを墓地に送り込める点は悪くない。《ステニャンコ》や《卍∞ ジ・エンデザーク ∞卍》の頭数としても優秀だ。

 一方のメカ・さくらいおんは《グレープ・ダール》をセットしてエンド。

 ギラサキは2ターン目、開始時の誘発能力で《ザロスト》を蘇らせ、トップを確認するとマナをセットせずに《ギャスカ》をプレイ。墓地の枚数を一気に5枚へと増やし、手札を消滅させる。

 《ビックリーノ》が手札の犠牲を要求しながら襲い掛かる。トリガーはなく、メカ・さくらいおんのシールドは4枚となる。
 さらに追い討ちを掛けるように、2枚目の《ビックリーノ》が戦線へと登場し、《手札の儀》が《ダラク》を呼び出す。トップはもはや確認したかしないかの勢いで墓地へ。2ターン目にして、並大抵のことでは揺るがない大軍勢が形成される。

 しかし、メカ・さくらいおんは焦るでもなく、淡々とした手つきで《ジョラゴン・オーバーロード》をプレイする。
 【火水自然バーンメアジョーカーズ】はシールドからのカウンター性能に優れるデッキだ。埋まっていればどうとでもなる。今、彼にできることは、虎視眈々と好機を狙い、来たるべき時に向けて準備を進めることのみだ。

 ギラサキの勢いは止まらない。前のターンに《ギャスカ》で捨てていた《ステニャンコ》、《ジ・エンデ》の誘発を宣言。まずは《ジ・エンデ》から解決し、《オーマ 丙-二式》をGR召喚。《ステニャンコ》の能力では今しがた出たばかりの《オーマ》+《ジ・エンデ》を破壊し、これにて《破壊の儀》達成。リンクすることを選べば回収が強制であるこちらで《ザンバリー》を回収し、任意効果である《オーマ》の回収能力は不使用。墓地を6枚で維持し、2体の《ビックリーノ》をチラつかせる。

 ポイントは、相手がトリガーからカウンターに踏み切ろうとした途端、《ビックリーノ》の能力が発動してしまうことにある。こうなると、2体の《ビックリーノ》が破壊されることにより、墓地のカードが合計8枚に。《墓地の儀》が達成されて《零龍》が卍誕すれば、カウンターとして叩きつけたクリーチャーたちを一掃させながら対処困難な打点が着地してしまう。
 
 この好機を逃してか、と打点を次々とレッドゾーンへ送り込むギラサキ。3枚のシールドがブレイクされたところで、《ドンドン吸い込むナウ》のシールド・トリガーが宣言される。

 メカ・さくらいおんにとっては間違いなくここが勝負の分かれ目だ。チームメイト共にたっぷり悩み、《ダースシスK》をバウンス。《ビックリーノ》2体が自身の能力で破壊され、《墓地の儀》の誘発条件が達成される……が、ここで今度は、ギラサキの方がチームメイトとの相談に乗り出す。
 現状の打点、返しのアクション、手札の状況。様々な情報からチームメイトと打点の詰め方を検討し、下手に卍誕させるよりも墓地メタのプレイを強いる方がこの状況では強いと判断。あえて《墓地の儀》のリンクを見送り、ターンはメカ・さくらいおんに移る。

 マナセット、3マナタップから唱えられる《お清めシャラップ》。やや撃たされた感のある格好だが、有効なことに変わりはない。ギラサキの墓地を一掃し、《ジョラゴン・オーバーロード》でさらにマナを伸ばす。次のターンのセット込みで7マナ。マナドライブ発動に憂いはない数字だ。あと1ターン、わずか1ターンさえ得られれば。一縷の望みをかけ、力強く掌を向ける。

 運命の4ターン目。ギラサキの盤面に並ぶ打点は《ビックリーノ》3体・《ダースシスK》1体・《ダラク》1体・《ステニャンコ》1体の計6点。相手のシールドは残り1枚。墓地は0枚で《零龍》の卍誕はありえない。もっとも、この局面は前のターンに卍誕を選ばなかった時点でギラサキの想定の範疇にあったはずだ。《ビックリーノ》をタップし、ラスト1枚のシールドを攻撃する。シールドから飛び出てきたのは……《スゴ腕プロジューサー》! メカ・さくらいおんにとっては逆転の一手を呼び込みうる唯一無二の1枚だ。

 未だ攻撃に加わっていない2体を含む3体の《ビックリーノ》が破壊され、《プロジューサー》のブロッカーによりもう1体が止まる。残るは2体。

 まずは《プロジューサー》のGR召喚を解決しよう。メカ・さくらいおんの汗ばむ手から《ダダダチッコ・ダッチー》が呼び出されると、その手は超GRを離れメインデッキに。トップから《エモG》、《マリゴルド》からの《シャッフ》! バトルで《プロジューサー》が破壊されなければ話にならないため、《プロジューサー》よりパワーの低い《ダラク》のコスト3を宣言し、あと1回のGR召喚にメカ・さくらいおんは全てを賭す。

 《ダースシスK》で攻撃。《プロジューサー》でブロック。《プロジューサー》はバトルに負け、破壊される。《プロジューサー》のGR召喚能力を解決。果たして最後の1枚は……

 ……無情なる、《ダンダルダ BB》。

 《ステニャンコ》の攻撃を食い止める手立てはなく、「はっちCS最高!」は横で既に決着していた1勝と合わせて2勝。決勝戦へとコマを進めた。


 ギラサキ WIN!

チーム戦績
 「松本モンキーパーク(悟空)」0-2「はっちCS最高!」

 「はっちCS最高!」WIN!