もの置き

てきとうに色々書きます

【デュエマ】yk800の週刊! メタゲーム・ウォッチング Vol.4・GP9th特別号【19.10.9】

 どうも、レッドことyk800です。あのハゲしくアツかりしGP9thも終わり、DMPの皆様におかれましてはとりあえず人心地、という時期ではないでしょうか。みなさん、結果はどうでしたでしょうか。僕は5-3予選落ちという自慢できるものではない結果に終わりましたが、ひとまず予選をドロップすることなく完走できたことについては嬉しく思います。

 さて、今回は「GP9th特別号」と題しまして、他のCSの結果は全部無視してGPのみにフォーカスを当てた濃度ドロッドロの記事をお送りいたします。なんせ来週のメタゲームの中心はGPの結果で決まりますからね! 大注目のあんなデッキやこんなデッキについても、独断と偏見を元に勝手に徹底解説していきたいと思います!

GP9th上位デッキ総まとめ

優勝:カリヤドネルー
準優勝:火単速攻
3位:カリヤドネルー
4位:火自然t水・生命と大地と轟破の決断(ドッカンデイヤー+メルゲ型)

Best8
火水自然光ミッツァイル
ロマノフワンショット
火単速攻
火単速攻

 ムートピア最後の砦、大舞台を制す。

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 調整チーム「マラかっち」の持ち込んだ最終兵器【カリヤドネループ】が【火単速攻】の猛攻を凌ぎ、見事GP優勝の栄光を勝ち取りました。
 今回の下馬評において最有力候補だった【火水自然ミッツァイル】、GP数日前にリストが公開され話題になっただけでなく、あからさまに「何かしそう」だったためにGP用のスペシャルデッキとして調整しているプレイヤーが多いであろうと予測された【生命と大地と轟破の決断】系デッキに対して有利を取れる点から、決勝トーナメントのメタゲームにおける立ち位置は準優勝をはじめBest8に3人を送り込んだ【火単速攻】に近く、今回のGPにおいて「勝ち組」デッキのひとつであったことは間違いありません。
 

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 準優勝は【火単速攻】。率直に言って今回のメタゲームにおける最大の勝者はこのデッキでしょう。
 前述の通り【火水自然ミッツァイル】と【生命と大地と轟破の決断】、さらには決勝戦では惜しくも敗れてしまった【カリヤドネループ】の対面とも基本的に相性は良く、GP予選という雑多で勝ち切るのが難しいフィールドを乗り切れれば高い出力を発揮できることは目に見えていました。
 今回は【火水自然ミッツァイル】の半端な枚数の受けをブチ抜けるよう、Vol.2でピックアップしたような3killの速度に特化した構築よりも、Vol.3で触れた《BAKUOOON・ミッツァイル》から《“魔神轟怒”ブランド》を戦場に送り込み、過剰打点で圧殺するプランを厚く見た構築が主流だったようです。


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 4位のデッキは【火自然t水・生命と大地と轟破の決断】。フィニッシャーとして《MEGATOOON・ドッカンデイヤー》と《アクア・メルゲ》を利用したGR無限召喚ループが搭載されているのが構築の特徴です。詳細な分析は後ほどしますが、第一印象以上に美しいデッキに仕上がっており、きちんと考えていくと勝ち抜けるに相応しい強力なデッキであったことを痛感しました。
 残念ながら上位のデッキに対して有利がつかなかったためにこの結果となりましたが、抜けたデッキ次第では十分優勝もあり得たポテンシャルではないかと思います。

Best4入賞デッキ徹底分析!

【カリヤドネループ】・・・優勝・3位

 優勝した「マラかっち」開発の【カリヤドネループ】はギアを上げた速度勝負のオールインデッキというよりも、むしろ《「本日のラッキーナンバー!」》をひたすら使い倒すことを意識したコントロール寄りのデッキになっています。それでいて最高速は4killなのですから全くもってタチが悪いデッキですね。
 【ネイチャー】系オールインとの最大の差別化点は「ループパーツである《カリヤドネ》がそのまま受け札として換算でき、コンボパーツもトリガー付きのバウンス呪文に絞ることで受けの枚数をかなり多めに確保できる」「GP当日の環境において【火単速攻】以外のほぼ全ての対面に有効であった《本日のラッキーナンバー!」》を使える」の2点であり、それによりメタの張られやすい墓地コンボデッキながら、幅広い対面への勝率を確保しています。

 基本的な動き方は以下の通り。
 毎ターンルーターを撃って手札を整えながら墓地枚数を確保し、相手のインパクトターンやこちらのフィニッシュターンの直前を狙い澄まして《ラキナン》で相手の1ターンをストップ。悠々と《カリヤドネ》を投下してルーターなどで墓地枚数をある程度維持しながら《ラキナン》でさらに相手の行動を妨害し、最終的に墓地からの《「大当たり! もう一本‼︎」》+《次元の嵐 スコーラー》でExターンを2回取りつつ《ラキナン》を絡めて殴り切るか、《ブラッディ・クロス》と《セイレーン・コンチェルト》、自分のクリーチャーを戻せるバウンス呪文、《「もう一本‼︎」》をループさせて無限回《ブラッディ・クロス》を撃ち込んでLOさせてゲームに勝利します。

 墓地対策はある程度有効ですが《ラキナン》という環境最強の妨害手段で時間を稼ぎつつルーターを回し、《ブラクロ》連打によって一瞬でリカバリーができるため、墓地対策を絶えず連打できるか、キャストしたあと速やかに勝利を見込めるデッキタイプでなければあまり意味はありません。【チェンジザドンジャングル】のようなデッキで墓地メタを撃った直後から即座に《ジャミング・チャフ》などの呪文妨害を使い倒して封殺する、【火水“覇道”】のように《MANGANO》+《ポクタマ》警戒の4宣言か《“必駆”蛮触礼亞》警戒の5宣言の択を迫れるなどの条件は必須になります。
 むしろ《カリヤドネ》が本当に厳しいのは呪文対策で、1ターンだけでも相当苦しいですが、《ジャミング・チャフ》+《サイクリカ》のような使い回しのコンボで2、3ターンを稼がれてしまうと流石にほぼ勝ち目が残りません。

 このようなメタカードによる妨害手段はそこそこ通るものの、ルーターを連打できて《ラキナン》を使うことができるため相手の事故を咎める性能が滅法高く、呪文であれば何を採用しても《カリヤドネ》のコストが下がるため採用できるカードの幅が見た目以上に広いのが【カリヤドネループ】の強みです。

 筆者はループプランを重く見た構築をGPで使用しましたが、マラかっち式の【カリヤドネ】は差し替えによりビートプランが取りやすく、その特徴が色濃く出ているのが3位入賞したリストに積まれていた《イエーガー a.k.a. 噴射》ではないかと思います。受け札でありながら《カリヤドネ》でキャストすることのできる「打点が増える」カードで、最終的に半ループによって何度もこのカードをキャストすることができるようになるため、このカードを1枚取るだけでも殴り勝ちの狙いやすさが大きく変わっています。

 また、筆者の視点から見るこのリストの最も優れている部分は、「このデッキのコンセプトレベルでの弱点がビートダウン系のデッキである」ということをまっすぐに受け止めた上で、それらに対する勝率を担保するためのトリガー10枚の枠を確保しつつ、本来有利である対面への出力を下げすぎないようコンセプトをギリギリのラインで守り抜く構築に仕上げてきた点です。これほどまでに合理的な構築を仕上げられた「マラかっち」の方々には敬服の念しかありません。

 ルーターでめくれたカードや対面のデッキタイプ、相手のマナに見えたメタカード等に合わせてプランニングが大きく変動するうえ、ループを確定させるために自分の山札を削っていくにもある程度慣れと練習が必要になる扱いの難しいデッキタイプですが、もし使ってみたいというのであれば、一つだけもっとも簡単なループの仕方を示したいと思います。

初期盤面
山札:3枚or2枚
手札:《カリヤドネ》
マナ:アンタップされている水文明単色のカード
墓地:《ブラッディ・クロス》3枚、★[《セイレーン・コンチェルト》1枚、《「大当たり! もう一本‼︎」》1枚、《カリヤドネ》をバウンスできる呪文1枚]
その他:《「一本」》の効果が発動している状態


《カリヤドネ》を召喚し、能力解決時に山札が2枚ならA→B、3枚ならB→Aをこの順序通りで処理する。

A:墓地から《★》、《ブラクロ》、《★》をキャスト


B:墓地から《ブラクロ》、《★》、《ブラクロ》をキャスト


※★は3種から重複しないよう選択。


※バウンスでは《ヤドネ》を手札に戻し、《コンチェ》で水マナ1枚をアンタップ。

 動画を見ているだけでは複雑なループ処理が必要なように思われたかもしれませんが、たったこれだけで十分です。
 このループは《ブラッディ・クロス》の要求枚数が多いかわりに、1ループで相手の山札を6枚削ることができるためアンタップループができずとも殺傷能力が高く、また《コンチェルト》の部分を任意の3コスト以下の呪文(概ね《ラキナン》)に差し替えることでアンタップされている水マナの数だけその呪文を唱えることができる不思議ループに様変わりする応用範囲の広さ、手札に《コンチェルト》を加えて唱えるループと異なり《プーンギ》がいてもその場で回り出す簡易さ、ループ証明の明瞭さが魅力で筆者はよく使用しています。

 実のところこのデッキは一度《カリヤドネ》から《「一本」》+《スコーラー》を着地させると何をしても回ると言っても過言ではなく、《ブラッディ・クロス》の無限ループだけでも墓地に《クロス》が1枚しかないパターンから3枚あるパターンまで全て組むことができますし、正しい裁定が出たことによって1回目の最初に《コンチェルト》を撃ってから墓地に叩き込み、2回目でもう一度唱えるマナアンタップループも開発されているなど、(実用性があるかどうかは別として)組み合わせるカード次第でなんでもできてしまいます。ループを愛するプレイヤーの方はとにかく回してみて、どんな条件でループが開始できるのか検討するだけでも無限に楽しめると思います。

 ネタが割れると対策されやすいとは言いますが、腐っても受けトリガーを10枚以上積むことのできる最速4kill即死ループデッキ。環境に存在するだけで圧迫感を放ち続けるのは間違いありません。GP優勝のインパクトによって意識が上がっているため、しばらくは鳴りを潜める可能性が高いですが、長い目で見ればGPだけのスペシャルデッキには留まらないでしょう。

【火単速攻】・・・準優勝

 《“魔神轟怒”ブランド》マジゴッド。【火単速攻】が新たに迎え入れたたった2枚のマスターカードは、デッキそのもののプランを変貌させるほどの圧倒的なパワーを静岡の地に見せつけました。

 主流だった《BAKUOOON・ミッツァイル》4、《“罰怒”ブランド》2〜3の構築とは異なり、準優勝したリストは従来の形に近い《ミッツァイル》3、《ブランド》4の形。
 最大の特徴は《TOKKO-BOON!》が最大枚数採用されていることで、上位に残った【火単速攻】は全てこのカードを4枚搭載しています。筆者もこの間初めて知ったのですが、《MANGANO-CASTLE!》と異なり、《TOKKO-BOON!》で出したGRクリーチャーは攻撃しなければ次のターンまで生き残るテキスト。つまり2ターン目の《TOKKO-BOON!》でバトルゾーンに送り込んだ《“魔神轟怒”》を攻撃させずに生き残らせておくことで、3ターン目に手札から3体のクリーチャーをバトルゾーンに出せば1つ目の能力の条件を達成し、実質的にコスト2のW・ブレイカーとして運用することが可能になる、という仕組みです。
 また、このカードとの相性がいい《ロッキーロック》も3プレイヤー全員が例外なく2枚採用。反面2ターン目のもっとも強い動きがこちらに塗り変わったため、《斬斬人形コダマンマ》や《花美師ハナコ》のようなカードの採用枚数が低く抑えられた傾向にあるようです。

 《DOROROOON・バックラスター》を採用した形は確かに【ミッツァイル】系統のデッキこそ得意でしたが、メタゲーム上強力だった【カリヤドネ】や【ネイチャー】系のデッキ、またミラーマッチにおいても3killを押し通せる構築の方に軍配が上がりますから、ここまで勝ち進んでこられた「ノッている」火単であれば、《“罰怒”ブランド》を全力で採用し3killの確率を最大化させた構築の方が強いことには納得ができます。

 環境構造的な話をすると、今回のTopTierは間違いなく【火水自然ミッツァイル】。5ターン目〜6ターン目に不可避の即死打点を組んで殴ってくるこのデッキに純粋なコントロールを仕掛けるのは非常に難しく、環境の速度はこのデッキが定義していました。反面様々な条件から採用できるカードが限られ、デッキ構造上序盤の妨害を挟むタイミングがありません*1
 このデッキは完全にメタられる側のデッキであるためおそらくGPで勝ち切ることは非常に難しく、事実【カリヤドネ】や【ネイチャー】系デッキ、【火単速攻】と【ロマノフワンショット】という【ミッツァイル】を喰い荒らせるデッキタイプがBest8のうち7席を占めていました。
 そしてこれらのデッキで直接対決を行った場合、もっとも安定して高い戦績を上げられると予想されるのは【火単速攻】でした。【ネイチャー】系に対しては7割以上の圧倒的有利、【カリヤドネ】は《知識と流転と時空の決断》込みでおそらく6割弱ほど、【ロマノフワンショット】に関してはかなり運が絡みますが五分よりは少し有利、といったところでしょうか。

 情けない話にはなりますが筆者は「【火水自然ミッツァイル】には《マーチス》が入るから、4枠〜6枠ほどを使って光文明の受け札が入ってくるだろう。《りんご娘》と光の受けが両方入るならば流石に【火単】は【ミッツァイル】に勝てないな」という判断を下し、GPの予選を勝ち残るのは非常に難しいだろうと事前段階では考えていました。ですが、後ほど【火単】を調整していた方に詳しいお話を伺ったところ、シールドトリガー8枚程度であれば過剰打点を組んで十分に押し切りを狙えますし、仮に耐えられたとしても返しに相手が勝ちきれるかどうかは微妙なところなのでかなり有利寄りであったとのこと。また、【ミッツァイル】に有利がつくようなデッキであれば受けの枚数をかなり削減しているであろうことから、見知らぬデッキタイプに対しても不利がつくことはないだろうと考えていた、と仰っており、まさしくその通りだと頷かせられました。
 実際に結果が示す通りBest8に3人もの【火単】が勝ち進んでおり、これらのデッキタイプの相性についてきちんと検討をしていなかった見通しの甘さを見せつけられた形となりました。精進します……。

 余談ですが、Best8に入賞していた【火水自然ミッツァイル】には《ホーリー》が採用されていて、これはかなりクレバーな選択だと感じました。《メメント守神宮》は頭数が必要となる関係で速攻に対してあまり意味がなく、《スローリー・チェーン》は確かに有効ですが返しに勝ちきれる見込みが薄い。であれば相手のクリーチャーを全て止めつつ頭数を増やすことで返しの《BAKUOOON・ミッツァイル》着地率を上げることができ、パワーが3500=《“魔神轟怒”》を上から叩けるため殴り返し要員としても機能する《ホーリー》は魅力的なチョイスです。
 全タップ+クリーチャー1体追加という前提を元にするなら《♪仰ぎ見よ閃光の奇跡》も有力ですが、呪文トリガーは《ジャミング・チャフ》や《ラフルル》などで、クリーチャートリガーに比して容易に阻害され、また、このデッキはGRゾーンのパワーラインが低く殴り返し要員として使いづらいために《ホーリー》がより優先的に採用されたと考えています。しかしながら、マナさえ揃っていればGR召喚によってバリューを出すことができる《♪仰ぎ見よ》もなかなかに有力な選択肢。また、《ホーリー》はマナセットなどで存在がバレていると《ラキナン》9宣言でミッツァイルごと止められてしまうため返しの勝ち切りが困難になるなど実害は小さくなく、一長一短があるように思います。
 このような舞台で上位に残った構築で検討されていないわけがないので、筆者には思いつかないさらに別の理由があってもおかしくはなさそうです。

 余談でした。

 ともかく、優勝は【火単速攻】を重く見たトリガーの厚い【カリヤドネループ】となりましたが、メタゲーム上の立場を見れば最大の勝者は【火単速攻】であったと言えるでしょう。過去を遡ってもこれほどまでに安定した速攻デッキは他に類がなく、また受けデッキは【火水自然ミッツァイル】によって存在が非常に難しい環境であるため、殿堂が発表されるまでは環境の最速デッキとして存分に強さを発揮し続けてくれるのではないでしょうか。

【火自然t水・生命と大地と轟破の決断】・・・4位

 フィニッシュループはざっくり言えば《逆転のオーロラ》でマナを6枚以上にしてから《生命と大地と轟破の決断》→《メルゲ》+《ドッカンデイヤー》、《メルゲ》から解決してGRを全て出しつつ途中の《マリゴルドⅢ》で2種5枚の《マグナム》のうちいずれかを登場させ、以降のGRを全て自壊できるように。最終的に《メカーネン》をループさせながら《メルゲ》の能力で《ワカメチャ》を落として解決することでデッキを回復し、相手をLOさせて勝利するというもの。
 デッキの一番下に《ワカメチャ》が来るパターンも《予知 TE-20》を出し入れしてボトムを固定することで回避することができます。

 最速でのループにはそれなりに要求値がありますがサーチカードが計8枚も搭載されており、【ミッツァイル】系の盤面をリソースとする対面には《“乱振”舞神 G・W・D》によるリソースを稼ぎながらのずらしがあったり、受けを切っている対面には《生命と大地と轟破の決断》→《ドッカンデイヤー》2体からの大量GR→《ソニーソニック》*2+《魔神轟怒》 *2の最大16打点投下*2で圧殺することも可能であったりと、GRゾーンのチョイスも含め構築者の「殺意」が随所に伺える仕上がりとなっていました。

 他に目立った《カラフル・ナスオ》+《侵革目 パラスラプト》による大量マナを利用して展開する【ネイチャーミッツァイル】系デッキと異なり、

・主要パーツが全て自然文明以外のカードから選ばれているため、3ターン目の《神秘の宝箱》スタートからでも足りないコンボパーツを寄せてきて4ターン目《逆転のオーロラ》が許容される

・《パラスラプト》を採用しないため呪文を無理なく使うことができる。特に速攻系のデッキに対してトリガーするとキルターンを1ターン早められる《フェアリー・ライフ》をストレスなく使用できるのはかなりの強み

・cipループなので、「そもそも出させない」メタクリーチャーでないと先置きの対処ができない

 などの強い利点があり、改めてリストを精査すると構築の緻密さに驚かされました。

 最速の3killパターンを切っているため《「本日のラッキーナンバー!」》に対する脆さは克服しきれていませんが、引かれていなければ【カリヤドネ】に対して純粋な速度勝負を仕掛けられますし、赤単に対しては先手から《ライフ》→《G・W・D》で相手の盤面を潰してまくることができ、不利ではあるもの勝ち筋自体は残されています。

 目新しいカードが採用されているがために好奇の目を持って受け入れられがちでしたが、筆者はこのデッキもまた一発屋などではなく、なんらかの規制がかかるまで環境の一角に居座り続けるデッキタイプであると思います。アンフェアデッキとしての強度は優勝・3位の【カリヤドネ】より高く、「速攻を仕掛ける」「《ラキナン》で5を止める」以外の明確な弱点を持っていないのが大きな強みになっており、【火単速攻】が極めて苦手であることを加味しても、【カリヤドネ】よりも見る機会は増えることとなるのではないでしょうか。
 

今週のHOT TECH

《機術士 ディール/「本日のラッキーナンバー!」》

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 GP9thはさながらGP《「本日のラッキーナンバー!」》とでも言うべき結果に終わりました。《ラッキーナンバー》に勝てないデッキは勝てず、《ラッキーナンバー》を強く使えるデッキ、または《ラッキーナンバー》が通りづらいデッキが上位を占めていたと考えています。

 何は無くともこのカード最大の利点は「GR召喚も含め、ほとんどの行動をロックできること」だったでしょう。このカードに一度でも「4」と宣言されればマナドライブ6・コスト4のGRクリーチャーを起点として展開する【火自然水ミッツァイル】はおいそれと《ミッツァイル》を送り出すことができず、「5」と宣言されればキーパーツの大部分がコスト5に集約されている【ネイチャー】系デッキはカードを引き、マナを1枚増やし、ターンを終了する他にありませんでした。「3」を宣言されれば多くのデッキに積まれた《ポクタマたま》はGRゾーンのトップで沈黙し、逆に《ラッキーナンバー》で相手の動きを咎めることもできません。
 このカードの影響で召喚に失敗したGRは一度公開された上で超GRゾーンのトップに残り続けるため、《ラッキーナンバー》を使う側は次の《ラッキーナンバー》宣言を外すリスクを負いません。
 そして【カリヤドネ】と【ロマノフワンショット】は、一度唱えたそれらを何度も使い回すことができてしまうのです。
 【火単速攻】は現環境において唯一《ラッキーナンバー》の影響をほぼ受けないデッキで、それもまた【火単速攻】の活躍に拍車をかけていたように思います。
 《ラッキーナンバー》を使用したアンフェアデッキは引きの噛み合い次第で絶対不利対面の存在をほぼ潰すことができ、より長いゲームを見たプランを取れるようになることから、デッキ構造の見た目以上に対策が困難です。
 GR召喚という強力なギミックに対する抑止力として機能している部分は否定できませんが、猛プッシュされているギミックをお手軽に封殺してしまえるカードが存在するのはあまりいい傾向であるとは感じません。メタクリではないため持続はしませんが、それは翻せば効果中はどうやっても解除ができないということでもあります。

 完全に筆者の私見ではありますが、次の殿堂カード最有力候補に躍り出たのではないでしょうか。
 

今週末のメタゲーム予想

 GP9thの翌日静岡県内にて開催された「東海CS」では【火水自然ミッツァイル】、【火単速攻】、【自然単(t火)ネイチャー】の3アーキタイプがBest8の椅子を総取りする結果となったようです。

 これは【カリヤドネ】や【火自然t水ネイチャー】といったアーキタイプがGP専用機だったということではなく、動きやプランニングの難しさから使用者の習熟度が足りなかったという部分が大きいと筆者は考えています。本格的な参入はプレイヤーがきちんと練習を積み、デッキへの理解を深めた今週末以降となりそうです。

 今週も引き続き【火水自然ミッツァイル】が環境を定義することは間違いなさそうですが、対抗馬は着実に勢力を強めています。筆者個人としましては【カリヤドネ】の躍進に期待したいですね。


 ハズレと呼ばれたSR・VRが数多く秘めたる力を見せつけることとなった今回のGP。今回の結果を見て痛感しましたが、今弾のカードパワーはこれまでのそれと比べても頭1つ抜けて強く、練習中も無数にクソデッキを組むことができる非常に面白いパックでした。
 新弾がリリースされて2週間後という「シークレットテクが隠せるか隠せないかギリギリ」のラインでの大型大会は見ているのもとても面白く、新鮮味にも溢れているので今後ともこのぐらいの時期での開催が常態化してくれると僕としては嬉しいところです。
 
 今週のメタゲーム・ウォッチングはここまでとなります。それではみなさま、良い週末を!

*1:採用自体はできますが手札が減るのにマナが伸びないアクションは【火水自然ミッツァイル】のコンセプト上相性が最悪です。それ1枚で勝てるレベルでなければ採用するのは難しいと言えます。

*2:《ソニソニ》1点1点《魔神轟怒》A2点全起き、《ソニソニ》1点1点《魔神轟怒》A2点《魔神轟怒》B2点全起きフルパン6点で4+6+6=16打点